「常夏の島」として知られる沖縄ですが、実は冬の寒さを表現する独自の言葉が5つもあるのをご存知でしょうか?「ムーチービーサー」は、ムーチーの頃に寒くなるとよく使われるので、知っている人も多いかもしれません。
でも、他の4つは??
亜熱帯気候で寒さとは無縁に思えるかもしれませんが、沖縄にもしっかりと冬は存在します。暖かいはずの沖縄に、これほど多くの「寒さ」を表す言葉があるのは意外に感じますよね。
この記事では、そんな沖縄の冬を象徴する5つの言葉をご紹介します。

- 寒さを表す沖縄の5つの季節言葉について
- 沖縄の気候と旧暦の関係
- 沖縄手帳について

この記事は沖縄生活13年、沖縄では歴史サークルに所属していたももとが書いています。
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目次
ムーチービーサ以外にもある沖縄の冬の寒さ表す季節言葉の意味

沖縄では「寒さ」のことを「ビーサ」と言いますが、ムーチービーサ以外にも「〇〇ビーサ」と言って寒さを表す言葉が全部で5つあります。
ウチナーグチ(沖縄語)で表現されているので、意味が分かりづらいですが、ひとつひとつ詳しく解説します。
- トゥンジービーサ
- ムーチービーサ
- ソーグヮチビーサ
- ムドゥイビーサ
- ワカリビーサ
トゥンジービーサ(冬至の頃の寒さ)
トゥンジーとは12月の冬至のことになります。
沖縄では冬至の頃にやってくる寒さのことをトゥンジービーサと言います。
沖縄では冬至の日にトゥンジージューシー(冬至雑炊)を作って、ヒヌカン(火の神)や仏壇に供え、家族の健康を祈願します。

ムーチービーサ(鬼餅の頃の寒さ)

沖縄では、旧暦12月8日にムーチー(鬼餅)を食べる習慣があります。
この時期にやって来る強い寒さをムーチービーサと言います。
ムーチーは、子どもの健康と成長を願い、月桃やクバの葉で包んだ餅をヒヌカン(火の神)や仏壇に供えます。
この日は、ムーチーを手作りするおうちもありますが、市場やスーパーにもたくさん売られますよ。
いろいろな味もあるので、ぜひ試してみてくださいね。

ソーグヮチビーサ(旧正月の頃の寒さ)
ソーグヮチは正月のことです。
ここでの正月とは、旧暦の1月1日の旧正月のことを言います。
この頃にやってくる寒さのことをソーグヮチビーサと言います。
沖縄では、新暦と旧暦2回お正月があるので、お年玉も2回もらえるなんて話も聞きますね。

ムドゥイビーサ(寒の戻り)
立春の頃から3月くらいの頃に、戻ってくる寒さをムドゥイビーサ(戻り寒さ)と言います。
内地では「寒の戻り」とも言いますよね。
沖縄では1月から桜も咲き、だんだん暖かくなってくる季節ですが、急に冬に戻ったかのように寒くなる日があります。
そんな寒さをムドゥイビーサと言うんですね。
ワカリビーサ(別れ寒さ)
ワカリは「別れ」を意味します。
3月~4月頃の最後にやってくる寒さをワカリビーサといいます。これで本当に寒さとのお別れです。
ワカリビーサが過ぎると高温多湿な季節がやってきます。

旧暦に当てはまる沖縄の気候

沖縄では、カレンダーに旧暦が必ず併記されているのをご存知でしょうか?実は、沖縄の人々にとって旧暦は、暮らしに深く根付いた大切なものです。
沖縄のお盆(旧盆)をはじめ、多くの伝統行事は今でも旧暦に沿って行われています。かつて日本全体がそうであったように、旧暦は農業の種まき時期を決めるなど、人々の生活と自然が密接に関わる上で欠かせないものでした。
現代でも、沖縄では昔ながらの旧暦に合わせた行事を大切に守り続けています。
そして、沖縄の気候は、この旧暦にとてもよく当てはまるんです。
例えば新暦の12月に、以下のような会話が、今でも普通になされたりします。

今年はなかなか寒くならないね〜

旧暦ではまだ11月だからね~
また、よく言われるのが梅雨明けの時期です。旧暦5月4日のハーリーの頃には「梅雨明けも近い」と言われており、実際本当にこの頃に梅雨が明けたりします。
このように沖縄では、旧暦と季節がぴったり当てはまっていることがよくあるのです。
※ハーリーとは豊漁祈願して爬竜船競漕を行う行事のこと

沖縄手帳で旧暦を把握しよう
沖縄の季語や季節の言葉は旧暦に基づいていることが多く、冬の寒さを表す言葉も旧暦と見事に一致します。旧暦は季節だけでなく、様々な行事にも深く関わっているため、沖縄で暮らすなら把握しておくと便利です。
本土で作られたカレンダーには旧暦が記載されていないことが多いですが、そんな時は「沖縄手帳」が役立ちます。
沖縄手帳には旧暦はもちろん、潮の満ち引きや六曜、沖縄独自の行事など、生活に役立つ情報が満載です。これらの情報は、地元の人だけでなく、沖縄を訪れる旅行者にとっても役立ちます。
年末が近づくと、書店には多種多様な沖縄手帳が並びます。お気に入りの一冊を見つけて、沖縄の暮らしをより深く楽しんでみてはいかがでしょうか。
ムーチービーサだけじゃない沖縄の冬の季節言葉まとめ
「ムーチービーサ」は沖縄の冬の代表的な言葉ですが、実はこれ以外にも多くの言葉があることがわかりましたね。沖縄独自の季語は旧暦と深く結びついており、沖縄の生活をより深く理解する鍵となります。
沖縄の冬は、本土とは違う独特の寒さがあり、その気候を表現する言葉が今も大切に受け継がれています。沖縄を訪れる際には、ぜひこれらの言葉を思い出して、沖縄ならではの冬の風情を感じてみてください。
また、独特な表現のウチナーグチ(沖縄語)を知るには、単語の収録数がダントツに多いこちらの沖縄語辞典もおすすめです。